東京大学の推薦入試

2016年度入試よりついに解禁

東京大学はこれまでずっと推薦入試を行わず、一般入試のみで合格者を判定してきました。
それは東京大学が日本国内のアカデミズムの頂点であるということから、合格者が自分で入学する学部学科を選ぶことができない「進振り」という制度をとってきたことを理由にしています。

東大初の推薦入試が実施されたのは2016年2月10日のことで、このとき全77名が合格となりました。
そのうち14名はAO義塾という推薦入試を専門に対策している進学塾出身者であったということもあり、果たして東京大学の推薦は公平なものなのかということが問題視される一幕もありました。

他にも東進ハイスクールや東進衛星予備校などの学生も推薦合格者の多くを占めていたことから、初の推薦入試であるにも関わらず相当研究と対策がとられてきたということが伺えます。

しかしこの現象を詳しくみてみるときちんとからくりがあり、そもそもとして東京大学の推薦入試につけられていた条件が普通の対策では到底備えることができない難易度の高いものだったということがあります。

その証拠に東京大学の一般入試は例年以上に高倍率で受験者がいたにもかかわらず、推薦入試では定員割れの学部学科が複数出ています。

普通他の大学での入試では一般入試よりも推薦入試の方が比較的合格難易度が低く設定されているものですが、東大の初年度に関しては全く逆であったようです。

全合格者のわずか3%が推薦入試合格者

東京大学の推薦入試のどこが難しいのかというとまず推薦を受けられるのは各高校から男女1名ずつと限定されていたということがあります。

さらにそんな全校トップの男女1名ずつが、本番で面接やグループディスカッションをしていくということになります。
もう一つ挙げると推薦入試であってもセンター入試受験は必須項目となっており、さらにそこで8割以上の成績がとれていなければならないのです。

最も東大の一般受験者はセンター試験の正答率9割超えもぞろぞろいるので8割以上の正答はそれほど極端に高いハードルというわけではありません。
しかし学校の成績で第1位となりプラスセンター試験8割以上正解必須というのは相当の学力がないといけません。

兵庫の灘高や筑波大学附属駒場高校、東大寺学園のような有数の進学校なら東京大学への合格者は毎年数十人輩出していますので、推薦を受けるために無理に学年トップを目指すメリットはあまりないと言えます。

むしろそうした超進学校のトップとして東大の推薦を受ける生徒は東大の学部の中でもトップ学部を狙うので、そこで優秀な生徒同士がかちあい、逆に比較的人気のない学部枠は閑古鳥が鳴くといったおかしな状況が起こりました。